八月の光上・下 / フォークナー翻訳:諏訪部浩一 / 岩波文庫

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【内容紹介】

〈あたし、アラバマから来たんだ。すごく遠くまで〉自分を棄てた男を追ってひとり旅する娘。白人か黒人か、自分の血に苦悶する孤児院育ちの男。狂信者として排斥された元牧師。互いに見知らぬ三者の物語がぶつかるとき、南部の小さな町に悲劇と喜劇が起こる。緩急自在な展開が息もつかせぬフォークナーの代表作。

これはおれの人生じゃない。おれはここに属してはいない──過去に囚われたクリスマスとジョアナ。二人の愛人関係は、ジョアナの殺害、クリスマスの素性の暴露、そして次なる惨劇を呼ぶ。事件のさなかに無垢なるリーナは赤ん坊を出産。アメリカ南部、運命に翻弄される人びとの光と影が鮮やかな、フォークナーの傑作長編。

ウィリアム・フォークナー
William,Cuthbert,Faulkner
（1897-1962）米国ミシシッピー州生れ。曾祖父は鉄道建設者・政治家・作家として知られた人物。第1次大戦で英国空軍に参加し、除隊後ミシシッピー大学に入学するが退学、職業を転々とする。地方紙への寄稿から小説を書きはじめ、『響きと怒り』（1929）、『サンクチュアリ』（1931）、『八月の光』（1932）などの問題作を発表。米国を代表する作家の一人となる。1950年にノーベル文学賞を受賞した。

フォークナーの重層的な物語手法や方法実験、土俗的・因習的な主題を持つ物語世界は後世の多くの作家に影響を与えており、その中にはトニ・モリソン、ガブリエル・ガルシア＝マルケス、莫言、日本人では井上光晴、大江健三郎、中上健次といった作家が含まれる。日本での著名な研究者は大橋健三郎や平石貴樹などである。

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